トヨタ電動車技術、その最先端の集大成として君臨してきた歴代プリウス

初代プリウスがデビューしてからはや20年以上、世界各国で内燃機関だけに頼らない「電動車(ハイブリッドやレンジクステンダーEVを含む)」への切り替えが急ピッチで進められる中で、トヨタ電動車技術の粋を集めた結晶として走り続けてきました。トヨタ市販HVの最先端、ベンチマークとしての歴史や、派生モデルなどを振り返ります。

トヨタの画像検索結果URL
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各代の概要と時代背景

常にトヨタ電動車のイメージリーダーとして~プリウスとは

1997年に初代モデルが登場して以来、エンジンとモーターを併用する「HV(ハイブリッドカー)」の代名詞的存在であり、トヨタ電動車の歴史を体現してきた車がプリウスです。一貫して「単なる燃費・環境スペシャルではなく、乗用車として優れた性能」を持っています。

そのため、ライバル他社から登場した初期のHVのように2名乗車や軽量化のために高価な素材を使う、100台限定でしか販売しないなどといった制約は設けず、普通に買えて乗れて使えて、それでいて燃費のいい環境対策車というのが特徴。

3代目からは外部からの充電でEV走行(モーター走行)距離を伸ばしたPHEV(プラグインハイブリッドカー)のプリウスPHVが発売され、燃費も初代デビュー時の28km/Lから最新モデルではついに40kmm/Lの大台を突破、長年の懸案だった4WD車もデビューしました。

トヨタは2025年までに内燃機関だけで走る車を全廃する「電動車100%」を宣言しており、2018年時点でもHVは特別なものではなくなっていますが、それでもHVやPHVの分野で、トヨタの、そして世界のHVの最先端を進む車であり続けています。

プリウス前史~最初はハイブリッドのハの字も無かったG21プロジェクト

トヨタでのHVやEV(電気自動車)は1970年代には実験車レベルで既に実車が存在しており、その当初は高級車のセンチュリーやトヨタスポーツ800(いわゆるヨタハチ)に搭載したガスタービンエンジンで発電、モーターで走行するというものでした。

クロスオーバーSUVのRAV4や1BOXワゴンのタウンエースをEV化するなど、松下電器工業(現在のパナソニック)と共同開発したバッテリーで、自社開発したインバーター(直流で蓄電するバッテリーから、モーターで使う交流へ変換する装置)など電動化技術もあったのです。

とはいえ、「エンジンとモーターを一緒に積んで細かい制御を行う」となると全く別な話で、1993年に21世紀に必要となる車を提案する「G21」プロジェクトが始動、その年末に骨子が固まった時には、ハイブリッドのハの字もありませんでした。

つまり、そんな難しい技術がいきなりできるわけも無いだろうということで、1.5リッターの直噴エンジンを搭載して燃費は当時のカローラの1.5倍にあたる20km/L程度、コンパクトなボディながらホイールベースを延長し、社内スペースを広く取るものだったのです。

しかし、1994年6月に突然、プロジェクトは大きな方向転換を迫られます。21世紀のための車なら、そんな保守的なメカニズムでやらなくても既存者の改良で十分可能であり、燃費も1.5倍程度ではなく2倍にならなければ意味が無いと。

そこでG21で作る車はEV開発部が研究していたハイブリッドシステムを搭載したHVに決定、そのコンセプトカーは1995年の東京モーターショーで発表することになったのです。



トヨタの方向性は示したコンセプトカーの裏で難航する開発

こうして1995年の東京モーターショーでは、EMS(トヨタ・エネルギー・マネージメント・システム)と呼ばれる試作ハイブリッドシステムを搭載するコンセプトカー、プリウスが発表されました。

このEMSは1.5リッター直噴エンジンとCVTを搭載、バッテリーではなくキャパシタという蓄電装置を使って1つのモーターでモーターアシストと発電を行うというもので、公表された燃費は30km/L。後の量産型プリウスに搭載されたものとは全く異なるシステムでしたが、とりあえず方向性だけ示して、本命の技術は隠しておこうという方針だったのです。

しかし、その裏で開発の進んでいた本命のシステム、THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)は、隠すまでも無く未完成もいいところでした。

とりあえずTHSのシステム一式を積んで組み立てたものの、試作車は1mmも動きません。ハードが良くない、プログラムが間違っていると問題点を1つずつ潰して動き出すまでに49日。

そこからモーターで走り出すもエンジンがかからない、エンジンがかかるとモーターとの制御がうまくいかず500mも走らない、ようやく走れるようになれば、システム冷却用電力の負荷がエンジンにかかり、2倍どころかカローラより燃費が悪い。

おまけに当初は21世紀に間に合えばいいので発売目標は1999年、最悪2000年末でも20世紀には違いないから、それでも仕方がないくらいの気持ちで開発していたのに、発売目標は1998年末に前倒しされ、さらに1997年3月の技術発表で年内発売と明言されてしまいます。

その時点で開発は確かに着々と進行していたものの、発表された28km/Lという燃費をクリアできる見通しはまだ立っていませんでした。しかし発表されたからには何とかしなければと開発陣が奮闘した結果、どうにか同年8月に開発完了、9月には量産試作車の生産が開始され、10月の記者発表会には滑り込みセーフで間に合ったのです。

同月、マイクロバスのコースターにシリーズ式HV(エンジンで発電しモーターで走行する、現在のノートe-Powerと同じ方式)搭載のコースターハイブリッドEVが市販されたため、トヨタ初のハイブリッド市販車にはならなかったものの、初の量産HV小型乗用車になりました。

ハイブリッドだけでなくパッケージングも注目された初代10系(1997-2003)

1997年12月、「21世紀に間に合いました。」をキャッチコピーに、ついにトヨタNHW10型・初代プリウスの正式発表と発売が開始されました。世界で初めて一般向けに発売されたハイブリッドシステム搭載の小型乗用車であり、以下のように当時のトヨタ同クラスおよびそれ以下の他車に比べ、燃費の良さが際立っていたのです。

(当時の燃費は全て10.15モード燃費、1997年12月時点)
AE110 カローラDX(1.5リッターエンジン / 4AT):15.6km/L
EL53 コルサセダンAX(同上):16.2km/L
EP91 スターレットルフレ(1.3リッターエンジン / 3AT):16.4km/L
NHW10 プリウス(1.5リッターハイブリッド / CVT):28.0km/L

G21プロジェクトで目指した「カローラの2倍」とまではいかなかったものの、それはプリウス以外も技術の進化で燃費を向上させた結果で、それでも圧倒的な低燃費を実現したことには変わりがありません。

さらに、2代目以降の5ドアハッチバックボディとは異なる、独立トランクつき3BOXセダンゆえに顕著では無かったとはいえ、ボンネットからフロントガラス、そしてリアガラスを経てトランク後端まで一筆書きしたようなワンモーションフォルムも独特でした。

今でこそ空気抵抗を極限化するため当たり前になっていますが、当時まだワンモーションフォルムは珍しかったのです。そして小型セダンとしてもルーフ(天井)の高さを上げて着座位置を高く取り、乗降時の乗りやすさや快適性の高さを特徴とした点はG21プロジェクト時代当初のコンセプトからの名残と言えます。

それゆえ、ハイブリッドカーとしてのみ注目されるものの、真に注目すべきはそのパッケージングであり、それこそ21世紀の車が示す未来予想図だと看破する自動車評論家もいました。デビュー当時、既にスズキ ワゴンRは登場していたものの、軽トールワゴンから大型1BOXミニバンまでブームになるような時代以前の話で、初代プリウスはその先取り的存在でもあったのです。

また、何しろ始動から低速まではモーター単体で静かに走り、全開加速時はバッテリー残量ある限りターボのようなモーターアシストが得られる車など、当たり前ですが全てのドライバーにとって前例がありません。そのため、CMでは「難しく考えないで、普通に運転してください。」とアナウンスが必要だったほどで、現在と違って非常に特殊な車だったことがわかるエピソードです。

なお、デビュー時の新車価格は「21世紀へGO(5)」と語呂を合わせた215万円(税別)で、ハイブリッドシステムの価格を考えれば「作れば作るほど赤字なはずの戦略価格」とも言われました。ただしそれはあくまで噂に過ぎず、開発予算まで考えれば元を取れるほどでは無かったのは事実なものの、生産段階では十分に採算が取れたため「作れば作るほど赤字」は適切では無かったとされています。

2000年にはビッグマイナーチェンジを受けNHW11型へと更新、外観は北米輸出対応のためのバンパー変更と、空力性能改善のためリアスポイラー追加程度。ただし「THS」(トヨタハイブリッドシステム)のエンジン、モーターともに出力を大きく向上させ、制御も一新して別物といってよい進化を遂げています。

代表スペックと中古車相場

トヨタ NHW10 プリウス 1997年式
全長×全幅×全高(mm):4,275×1,695×1,490
ホイールベース(mm):2,550
車重(kg):1,240
エンジン:1NZ-FXE 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
排気量:1,496cc
最高出力:58馬力 / 4,000rpm
最大トルク:10.4kgm / 4,000rpm
モーター:1CM 交流同期電動機
最高出力:41馬力
最大トルク:31.1kgm
乗車定員:5人
駆動方式:FF
ミッション:電気式無段変速機
燃費(km/L):28.0(※10.15モード燃費)
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)トーションビーム
中古車相場(各型全て):10.8万円~48.7万円

その後のプリウスの原型を形作った2代目20系(2003-2011)

2003年9月には初のフルモデルチェンジを受け、2代目NHW20型へ進化。初代のマイナーチェンジ以降から北米やヨーロッパなど海外市場への輸出が始まり、「環境意識が高いトヨタの世界戦略車」となったことで世界中で通用することが求められた結果、一回り以上大きくなって3ナンバー登録となりました。

独立トランクを持つ5ナンバーサイズ4ドアノッチバックセダンから、リアハッチを持つ3ナンバーサイズ5ドアハッチバックセダンへの大変更はその後のプリウスで標準的なスタイルとなり、現行の50系まで受け継がれています。

大型化に伴う車重増加は最低限に抑えられたものの、モーターは初代後期の2CMから3CMへ変更されパワーアップ、低速時のモーター単体走行や高速走行時のモーターアシストが強化され、ハイブリッドシステムもTHSから新型のTHSIIへと進化。

大きく重くなったとはいえ、それだけデザインの自由度も上がり、横から見るとオムズビ型三角系を潰したような「トライアングル・シルエット」を採用して空力性能が向上。電動車としてパワーアップ&効率アップしたTHS-IIの恩恵もあり、燃費は初代末期の31.0km/Lから35.5km/Lへと大きく向上しました。

ライバル車の中にはそれより燃費の良いハイブリッドカーもあったものの、それはあくまで燃費スペシャル的な車であり、定員4人以上の実用セダンハイブリッドカーとしては、依然として世界最高の燃費を誇ったのです。

また、この代からグレードごとにカタログ燃費が異なるようになり、モデルチェンジ時の豪華装備グレード「Gツーリングセレクション」では30km/Lなのに対し、装備簡素化で軽くなっている燃費スペシャルグレード「S」が35.5km/Lと大きく差がついています。

燃費スペシャルグレードはその後のプリウスでも設定されていきますが、実際に購入するユーザーは最高燃費を追求するより実用性を望むため、実燃費で見ると宣伝される燃費スペシャルグレードほどの低燃費にならないのが普通となりました。

なお、初代も話題作りのためタクシーとしての導入例が多かったのですが、2代目では大型化で車内スペースに余裕ができたこともあり、3代目登場後に中古車を改装したプリウスタクシーが急激に増加しています。

2009年5月には3代目へのモデルチェンジで消滅すると思われましたが、ライバルのホンダがプリウスとよく似ているものの一回り小さい5ナンバーサイズで安価な2代目インサイトを同年2月にデビューさせていたことで、2代目プリウスも延命が決定。

新たに装備を簡素化して法人向けとした「プリウスEX」として2代目インサイトと同価格、つまり初代プリウスデビュー時よりも安い189万円で販売し、インサイトに対抗しました。

あらゆる性能に優れた3代目プリウスと、価格面で同等の2代目プリウスEXで挟み撃ちにされた2代目インサイトは販売台数が低迷していき、「ハイブリッドといえばトヨタ」のイメージを守っていったのです。プリウスEXは後継のアクアが登場する2011年12月まで生産されていました。

代表スペックと中古車相場

トヨタ NHW20 プリウス S 2003年式
全長×全幅×全高(mm):4,445×1,725×1,490
ホイールベース(mm):2,700
車重(kg):1,250
エンジン:1NZ-FXE 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
排気量:1,496cc
最高出力:77馬力 / 5,000rpm
最大トルク:11.7kgm / 4,200rpm
モーター:3CM 交流同期電動機
最高出力:68馬力
最大トルク:40.8kgm
乗車定員:5人
駆動方式:FF
ミッション:電気式無段変速機
燃費(km/L):35.5(※10.15モード燃費)
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)トーションビーム
中古車相場(各型全て):2万円~97万円

PHVも登場、動力性能が強化された3代目30系(2009-2016)

2009年5月に3代目のZVW30型へモデルチェンジ、前項で書いた通り先代NHW20型もプリウスEXとして継続し、同年12月にはZVW35型プリウスプラグインハイブリッド(後にプリウスPHV)のリースが開始されたため、一時的に3種のプリウスが並行販売されます。

デザインは基本的に先代20系からのキープコンセプトなものの、大型化され切れ上がったヘッドライトやバンパーに移設されたウィンカーなどでやや精悍なフロントマスクに。丸めてまとまっていたリアはルーフからのラインが後端でスパっと垂直に断ち切られて垂直に立ちはだかるような形状となり、テールランプユニットも大型化されたことで、エッジの効いたデザインへ。

「トライアングル・シルエット」は維持されたため、車に詳しくない人が遠目に20系と識別するのは容易ではありませんが、全体的に灯火類の大型化とシャープな印象を与える造形となりました。

数ヶ月早く2代目ホンダ インサイトがデビューしたことで5ドアハッチバックセダンHVの覇権争いが注目されましたが、ハイブリッドシステムで一日の長があり価格も割安、パッケージングも大型で後席への乗降も容易な3代目プリウスに分があります。

そのためHVの決定版として3代目プリウスは歴代中最大のヒット作となり、トヨタの販売台数トップを行く稼ぎ頭にまで成長しました。

パワーユニットも2代目までの1.5リッターエンジンから排気量アップした新型の1.8リッターエンジンに換装、モーター不使用時の走行や発電能力にも余裕が出て、モーターのパワーアップもあり一層燃費と動力性能は向上しています。

THS-IIも小型高速、高電圧化したモーターを組み込み、90%以上を再設計してコンパクトかつ軽量化したリダクション機構付きTHS-IIへと進化、2.4リッターガソリンエンジン並のパワーと世界トップレベルの燃費を両立しました。

2009年12月に官公庁や一部事業者向けリースを開始、2012年1月から一般販売も開始したプリウスPHVでは従来のニッケル水素バッテリーではなく最新のリチウムイオン電池を搭載し、EV同様に外部からの充電に対応。これによりEV走行での距離や最高速度が大きく向上し、市販段階で最長26.4km、最高速度100km/hでのEV走行が可能になりました。

2011年3月の東日本大震災で、一部HVなどに設定されていた、家庭用電化製品の使用にも耐えうる大容量給電100Vコンセントの価値が注目され、2012年11月の改良ではプリウス / プリウスPHVともに100V・1500W対応のコンセントをオプション設定しています。

プリウス / プリウスPHVともにEV走行領域の拡大で従来以上の静粛性を求められたこともあり、スポット溶接の間隔を狭めて振動や騒音低減を目的としたボディ剛性向上を実現。

2011年12月に追加されたプリウス初のスポーツ仕様、G’sプリウスG SPORTSではさらにスポット溶接を増した上に補強ブレースを追加、強化ダウンサス装着で最低地上高を下げ、操縦安定性とコーナリング性能を増すチューニングが行われました。

この3代目プリウスから新車で採用するタクシー事業者も増え、一般向けも大ヒットしたことから街中に多数のプリウスを日常的に見かけるようになります。

代表スペックと中古車相場

トヨタ ZVW30 プリウス L 2009年式
全長×全幅×全高(mm):4,460×1,745×1,490
ホイールベース(mm):2,700
車重(kg):1,310
エンジン:2ZR-FXE 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
排気量:1,797cc
最高出力:99馬力 / 5,200rpm
最大トルク:14.5kgm / 4,000rpm
モーター:3JM 交流同期電動機
最高出力:82馬力
最大トルク:21.1kgm
乗車定員:5人
駆動方式:FF
ミッション:電気式無段変速機
燃費(km/L):38.0(※10.15モード燃費)・32.6(JC08モード燃費)
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)トーションビーム
中古車相場(各型全て):34万円~299万円

内外装メカニズムが大幅更新!4WD初登場、PHVも強力になった4代目50系(2015-)

2015年12月に通常のプリウスが、2017年2月にプリウスPHVがモデルチェンジして4代目50系へ更新。この代からトヨタの新しい設計アーキテクチャ「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)が初採用され、モジュール設計により新車開発のスピードアップや各モジュールの最適化による走行性能向上などが図られました。

「トライアングル・シルエット」のデザインやパワーユニット内のエンジン型式こそ共通なものの、全てが新設計と言ってよいほど徹底的な変更が行われ、特にデザインは別車と言っていいほど変貌し、プリウスとプリウスPHVでも別デザインが採用されています。

その一方でプリウス Sを除く全グレードのバッテリーがニッケル水素からリチウムイオンに変更、エンジンの熱効率改善によって燃費を大きく向上させ、最廉価の燃費スペシャルグレード、プリウス Lでは厳しいJC08モードに関わらず燃費40km/Lの大台を超えました。

TNGAで開発された新型の低重心プラットフォームや車高ダウンにより走行性能は向上、さらに長年の課題だった4WDグレードも後輪にモーターを配したE-Fourを採用して設定されています。

プリウスPHVは前述のようにデザインを通常のプリウスと別車に見えるほど大きく変えており、バッテリー容量も増やしてEV走行距離は最大68.2kmに向上させたので、短距離利用ユーザーなら外部からの充電のみでガソリンを使わず走ることも可能。

PHV最大の魅力である外部給電機能は、エンジンをかけない「EV給電モード」とエンジンで発電しながら給電する「HV給電モード」の2つを選択可能になり、HV給電モードではガソリン満タンで最大出力で外部への給電を2日程度行えます。

4代目の時代になると、「ハイブリッドカーはもはや当たり前」という時代で、普及版として小型のアクアが、トヨタやレクサスの他車にもハイブリッド版が数多く登場しており、プリウスが特別な存在とは言えなくなりました。

しかし、それでもトヨタの新しいプラットフォームや電動車技術が真っ先に投入される最先端の車として、その時代のトヨタ車の技術面を象徴する「顔」として君臨し続けています。

代表スペックと中古車相場

トヨタ ZVW51 プリウス E 2015年式
全長×全幅×全高(mm):4,540×1,760×1,470
ホイールベース(mm):2,700
車重(kg):1,310
エンジン:2ZR-FXE 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
排気量:1,797cc
最高出力:98馬力 / 5,200rpm
最大トルク:14.5kgm / 3,600rpm
モーター:1NM 交流同期電動機
最高出力:98馬力
最大トルク:16.6kgm
乗車定員:5人
駆動方式:FF
ミッション:電気式無段変速機
燃費(km/L):40.8(JC08モード燃費)
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)ダブルウィッシュボーン
中古車相場(各型全て):149.9万円~398万円

各代の新装備

THSを初採用した初代

ハイブリッドカーということを除けばメカニズム面では比較的保守的な初代ですが、そのハイブリッドシステムTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム)だけでも十分革新的です。

駆動 / 発電用モーターと発電用モーターの2モーター式で、CVT(無段変速機)としての機能を兼ねた動力分割機構により、エンジン単体、モーター単体、エンジン+モーターアシストという3つのモードを複雑な制御で使い分けます。

その当初は信頼性に重点を置かれたためかエンジン、モーターともに出力は低く、その動力性能は軽自動車並だったとはいえ、ビッグマイナーチェンジで両方とも出力向上した上にバッテリーも小型軽量化されるなど、大きく改良を受けました。

また、当時まだ採用車種の少なかったセンターメーターを採用し、5.8インチマルチインフォメーションをハリアーに次いで採用するなど、先進的な試みがなされています。

THSIIで動力性能を向上させた2代目

あくまで世界初の量産小型ハイブリッドカーとして信頼性を重視した初代のTHSに対し、商品性を上げるため動力性能を大幅に改善、EV走行距離や性能を向上させたTHS-IIを採用。この代からバッテリー残量が十分にある限りモーターのみでの走行が選択可能な「EVモード」が初採用されました。

キーを持ったまま近づき自動開錠、ブレーキを踏みながらスイッチを押せばハイブリッドシステムが起動するスマートエントリーや、モーターだけで短距離なら走れるEVモードもこの代から採用。現在では教習車からプッシュスタートなので「カギで開錠してカギを差し込んで回しシステム起動」を知らないドライバーが増えているようですが、2003年当時はまだ最先端技術だったのです。

その他、バックモニターで場所を指定すればハンドル操作は自動化されるインテリジェントパーキングアシスト、横滑り防止装置と電動パワーステアリングを統合制御するS-VSC、アイドリングストップ中も作動する電動インバーターエアコンが世界初搭載されました。

リダクション機能付THS-IIへバージョンアップした3代目

ハイブリッドカー・プリウスの根幹を支えるハイブリッドシステムTHS-IIが、コンパクトなモーターから大きなトルクを引き出すリダクションギヤを持つ「リダクション機能付THS-II」へと進化。2代目のTHSIIでは高出力・大トルクの大型モーターを使用していましたが、高電圧・高回転の小型モーターからリダクションギヤを介して大トルクを引き出すことで、システム全体の小型軽量化に成功しました。

その他、ラジエター冷却水のウォーターポンプをベルトを介したエンジンによる駆動から電動に変更して、エンジンの負担を低減。エンジンの排気熱をヒーターやエンジン暖機に利用可能な排気熱再循環システムや、大容量水冷EGRクーラーの採用と合わせ、細かいところから着実に燃費を良くしています。

「プリウス G ツーリングセレクション・レザーパッケージ」にはセンターメーターへステアリングスイッチで触れた場所を表示する「タッチトレーサーディスプレイ」を世界で初めて標準装備(他グレードにはメーカーオプション)。

プリウスPHVにはトヨタ車で初めてリチウムイオン電池を採用したほか、通常のプリウスともども2012年11月の改良で100V1500W電源を供給可能なコンセントをメーカーオプションで設定、災害時対応などを強化しました。

また、外部からの充電が可能なPHVならではの装備として、スマートフォンアプリ「eConnect for PHV」から充電管理やエアコン操作を可能にしたほか、充電ステーションの検索や燃費表示を可能にしています。スマートフォンアプリとしてはもうひとつ、擬人化された車が電池状況などをユーザーに伝えたり、独自のSNS機能や質疑応答機能を持つ「TOYOTA friend」もリリースされました。

なお、一部グレード(「S」および「G」)にはソーラーパネル(太陽電池)を後部に持つムーンルーフが初めてオプション設定され、その電力によって駐車中の換気を行うソーラーベンチレーションシステムが初採用されています。

ほとんどのグレードでリチウムイオン電池を採用、4WDも初設定された4代目

大掛かりなデザイン変更が行われ、プラットフォームやメカニズムレイアウトにも新設計アーキテクチャ「TNGA」を使った設計が行われた4代目ですが、FF車用ハイブリッドシステムの熟成が進んで新機軸は意外と控え目です。

「プリウス S」を除く全グレードで、これまでPHVのみの採用だったリチウムイオン電池を採用し、最廉価燃費スペシャルグレードの「プリウス E」とプリウスPHVを除く全グレードで4WDの選択が可能になりました。

4WDはミニバンのハイブリッド車でも採用されている「E-Four」の簡易的なもので、7.2馬力の小型モーターを積雪路や凍結路で25km/Lまでの低速域で発進などをサポートするほか、前輪がスリップした時にも後輪を駆動します。従来は大型ミニバンにしか採用されていませんでしたが、小型HV用としてはトヨタ初の4WDシステムで、従来のE-Fourは「高出力E-Four」として区別されました。

安全装備も歩行者検知機能付衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ、全車速追従機能付レーダークルーズコントロール、ステアリング制御付レーンディパーチャーアラート、オートマチックハイビームを組み合わせ「Toyota Safety Sense P」としてパッケージ化。

プリウス A以上のグレードに標準装備したほか、プリウスE、プリウス Sにもメーカーオプションで設定しています。ステアリングアシストは最低限、車線中央維持機能も持たないあくまで初歩的な運転支援パッケージとはいえ、レベル2自動運転に近い機能を組み込みました。

プリウスPHVは、発電のみに使っていた2つ目のモーターも駆動用として使用可能なデュアルモータードライブを初採用し、通常のプリウスより力強いモーターアシストを得ています。さらにメーカーオプションの太陽電池パネルは量産車としては世界で初めて走行用バッテリーへの充電に対応し、1日で最大約6.1km、平均約2.9km走行分の充電が可能です。

各代のモータースポーツでの活躍

基本的にはエコカーだけに、その当初モータースポーツでの使用は考慮されていなかったプリウスですが、2代目をベースにグループNレーシングカー仕様をトヨタが製作したのが、プリウスがモータースポーツを積極的に意識した瞬間となりました。

エンジンに通常のプリウス用アトキンソンサイクル版1NZ-FXEではなく、カローラなどにも使われる通常燃焼版1NZ-FEを採用、インバーターの昇圧機能を強化してモーターアシスト時を含めたシステム出力を向上。ロールバーの装着やブレーキの強化なども行われ、ワンメイクレース開催も検討されましたが、この時は実現せずに終わりました。

特に2代目以降は割と大柄なボディに1.5~1.8リッタークラスのハイブリッドパワーユニットと、動力性能的にはスポーツカー並とまではいかなかったのでメジャーなモータースポーツへの参戦はありません。ただし、全日本ラリーに2代目プリウスによる参戦が何度か試みられた記録(完走記録は無し)があるほか、ダートトライアルのローカルイベントでは、比較的コンパクトな初代などで積極的に参戦する例が一時期見られました。

なお、3代目と4代目はSUPER GTレースのGT300クラスに参戦していますが、ハイブリッドシステムこそ採用しているもののエンジンはリアミッドシップ配置、ハイブリッドシステムは助手席に配置されており、市販車風のカウルを持つだけの純レーシングカーです。

富士スピードウェイの「エコカーカップ」など燃費を競うエコランレースではポピュラーな車両ですが、プリウス自体が他の車とその動力性能で速さを競う場面は、まだあまりありません。

各代の派生車種

当初は「世界初にして4人乗り以上の小型乗用車では唯一のHV」として登場したプリウスなだけに、システムとしての完成度が上がるまで派生車種はあまりありませんでしたが、2代目以降で順次登場しています。

2代目のシステムをベースにしたアクア

2代目の装備簡略・廉価版として3代目登場後も継続販売されていたプリウスEXの後継として2011年12月に発売されたのがアクアです。

5ナンバーサイズの5ドアハッチバック車で小型軽量、ハイブリッドシステムは2代目プリウスまで使用していた1.5リッターの1NZ-FXEエンジンと、THS-IIを改良した、3代目プリウスとは別系統のリダクション機構付THS-Iiを採用しています。

基本的には2代目プリウスのパワーユニットを小型軽量化して、より小型軽量ボディに載せた廉価版HVで、その軽さゆえプリウスより走りは軽快、4代目プリウス登場までは燃費もトヨタHVとしてNo.1であり、安いことから販売ランキング上位を争う常連になりました。

北米では「プリウスC」の名で販売されている、立派なプリウス一族です。

3代目ベースのミニバン、プリウスαとダイハツ メビウス

3代目プリウスのホイールベースを延長し、2列シートのステーションワゴン、または3列シートミニバンとして2011年5月に発売されたのがプリウスα。

同クラスのウィッシュやアイシスが販売終了した後はトヨタ唯一の小型乗用車タイプミニバンとして残っており、ベースのプリウスが4代目にモデルチェンジしてからも3代目ベースのままで継続販売されています。

なお、ダイハツにメビウスとしてOEM供給されていますが、2列シート5人乗り仕様のみで3列シート7人乗り仕様はラインナップしていません。

3代目の上級版、SAIとレクサス HS

3代目と同じプラットフォームとリダクション機構付THS-IIを使用するものの、プリウスの1.8リッターに対し2.4リッターエンジンを使用、ボディも一回り大きく内外装も豪華仕様なのがトヨタのSAIと、そのレクサス版HSです。

3代目と同時期デビューですがPHV仕様の設定やモデルチェンジなどは行われず、SAIは2017年12月で生産終了、HSも2代目が登場することなく終了する見通しです。

次期プリウス、ビッグMCも含め大予想

現行プリウスは2015年12月に登場したばかり、PHVに至っては2017年2月に登場したばかりなので、ここまで6年サイクルでモデルチェンジを繰り返してきたプリウスとしては、まだ5代目の話をするのは早いかもしれません。

従来通りのサイクルであれば2021年末に5代目デビューとなるところですが、TNGAの採用で開発スピードが上がっていることや、4代目通常版は好き嫌いの分かれるデザインで今ひとつ販売台数を伸ばせていないことから、早期テコ入れの可能性はあります。

マイナーチェンジで通常版プリウスのデザインをプリウスPHVに合わせる噂もありますが、PHVのデザインは空力性能よりデザイン差別化を重視した結果なので、単純にデザインを合わせるとカタログ燃費が落ちる可能性も。
ただし、カタログ燃費は従来採用されていたJC08モードではなく、2018年10月から国連が定めた国際基準のWLTPに全面移行されます。

そのタイミングでデザインとカタログ燃費を変更すれば、「従来より悪化した」という印象を与えないため、そのタイミングで「PHV顔への統一」というビッグマイナーチェンジが行われるかもしれません。

その一方、トヨタでは2025年までの「販売する全車の電動化」を表明しており、全車がモーターのみで走行するEVまたはFCV(燃料電池車)、あるいはエンジンとモーターを併用するHVになります。その過程で通常版プリウスは「ごく普通の車」として、現在のプレミオやアリオンのように車種ラインナップの中で保守的な車として埋没してしまいますから、その対策は必要でしょう。

常にトヨタの最先端技術の集大成として君臨してきたプリウスだけに、次期型ではバッテリーに劣化の少ない全固体電池の採用やPHV中心のラインナップなど、大きな変化があると思われます。

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